プログラミング教育って絶対パソコンを使わないといけないの?
いえいえ!パソコンなしでプログラミング教育をする方法があります!
それが『アンプラグドプログラミング』です!
変な名前やな!
みんなカタカナ好きだからねぇ
- アンプラグドプログラミングとはなにか?
- アンプラグドプログラミングのメリット
- アンプラグドプログラミングのデメリット
- アンプラグドプログラミングの実践方法
アンプラグドプログラミングとは?
アンプラグドプログラミングとは『コンピュータを使わずに、ワークシートやカードなどを用いながらコンピュータの仕組みやプログラミングの基本的な考え方を学ぶ方法』のことです。
短く言うと『パソコンを使わないプログラミング的思考の学習法』です!
パソコンを使わずに「小さく分けて考える」「手順を考える」「パターンを見つける」「大事なものだけ取り出す」「頭の中でシミュレーションする」などのプログラミングに必要な考え方を学びます。
上記の5つの考え方がまさしくプログラミング的思考であり、パソコンを使ったプログラミング教育でも意識される要素です。
そもそもパソコン使わなくていいの?
文部科学省はプログラミング教育に関して以下のように説明しています。
※プログラミングに取り組むことを通じて、児童がおのずとプログラミング言語を覚えたり、プログラミングの技能を習得したりするといったことは考えられるが、それ自体をねらいとしているのではない
出典:文部科学省
つまり、プログラミングの知識や技能よりも『プログラミング的思考の育成が大事』ということです!
なのでパソコンを使わなくても『プログラミング的思考の育成』ができるのであればオッケーということです。
アンプラグドプログラミングのメリット
アンプラグドプログラミングのメリットは7つあります。
アンプラグドプログラミングの7つのメリット
- パソコンがいらない
- パソコンに不慣れな先生でも指導できる
- プログラミング的思考を育成できる
- コンピュータの仕組みが理解できる
- プログラミングの基礎が理解できる
- 低学年から取り組める
- グループワークができる
メリットけっこう多いね!
ひとつずつ見ていこう!
パソコンがいらない
アンプラグド(プラグのいらない)と名前がつく通り、パソコンがいらないのがアンプラグドプログラミングの最大の特徴です!
パソコン以外にも、スマホやタブレットなどの電子機器が全て不要です。
『プログラミング教育ならパソコン使おうよ!』っていうツッコミが聞こえてきそうですが、パソコンを使わないメリットもあるんですよ!
- 生徒の人数分のパソコンを用意しなくてよい
- マウスやキーボードの操作から練習しなくてよい
- パソコンの専門用語がいらない
- パソコンの故障や不具合の心配がない
- 充電や電源の確保がいらない
2024年度までに小学校では1人1台タブレット端末が用意されることになっているので、パソコンの台数の縛りは時間の問題でしょう。
ただし4年かけて配布するので、地域によってかなりの差が出てしまいます。
準備が整うまでの期間にアンプラグドプログラミングを利用すると、パソコンがなくてもプログラミング教育ができるっていうのはいいことですね!
また、低学年はパソコンの使い方も分からなければ「マウス」や「クリック」など説明する際に使う単語から分からない子がほとんどです。
まずはパソコンなしで学習して、パソコンに慣れてきたらビジュアルプログラミング言語を用いるなど、段階的なプログラミング教育を行うためにもアンプラグドプログラミングは有効です。
パソコンに不慣れな先生でも指導できる
いきなりプログラミング教育をやれと言われても、パソコンが上手く使えない先生もいます。
ましてやプログラミングなんて、やったことない先生がほとんどです。
子どもが操作するソフトを扱うのであれば、先生も少し使えば操作できます。
ただし、それだけではトラブルが起こった時に対処ができません。
パソコンを使う以上、多少のトラブルにも対応できる必要があります。
たとえば
パソコンを使う上で想定されるトラブル
- ネット回線がつながらない
- ネット回線が遅い
- パソコンが起動しない
- パソコンがフリーズする
- プロジェクターが映らない
- データを消してしまった
このような様々なトラブルに対して何も対処方法を知らないと……
パソコンだけでなく授業もフリーズします。キャァァァァァァァ!!
考えただけでもゾッとしますね。
アンプラグドプログラミングではこのようなトラブルのリスクを回避することができます。
先生がパソコンで授業できるようになるまでの対応策でもあるということですね!
プログラミング的思考を育成できる
ここが大事です!
アンプラグドプログラミングでは、パソコンは使わずにプログラミング的思考を育てることに重点を置いています。
具体的には問題の解決方法や、より好ましい手順の考え方を学びます。
僕は、アンプラグドプログラミングで考える力を育てておけば、実際にパソコンを使ってプログラミングをはじめるときに、効率よく理解できるだろうと考えています。
ただし、パソコンに慣れるため、また本格的にプログラミング教育を行っていくためにはパソコンを利用する方が望ましいでしょう。
コンピュータの仕組みが理解できる
アンプラグドプログラミングでは、どんなプログラミングでどんな動作が行われるのかなど細かい仕組みまではわかりません。しかし、コンピュータの概念的な仕組みを理解することはできます。
「決められた命令しか実行できない」ことを知っていると、操作を間違えたときやプログラミングが上手く動かなかったときに、「命令が間違っていたのでは?」と考えることができます。
命令あってても処理が上手くいかないときもあるけどな。
コンピュータの仕組みを学ぶことは、現代の情報社会で将来活躍するためには非常に重要です。
パソコンを使っていなくてもコンピュータの仕組みを学べるのは、アンプラグドプログラミングのメリットだと言えます。
プログラミングの基礎が理解できる
パソコンを用いずにプログラミングを学習するためのアンプラグドプログラミングが教材たくさんあります。
それらの教材で「上から順位実行」「繰り返し」「もし~なら」など、プログラミングに欠かせない処理構造を学ぶことができます。
遊びながら処理を学んでいくことができます。
手を動かして取り組んでいくので、体験として記憶に残りやすいといったメリットがあります。
プログラミングは楽しい!命令を組み合わせることで自分のやりたいことが実現できる!
という感覚になれれば最高です!
低学年から取り組める
アンプラグドプログラミングはパソコンを使わないため、簡単なものであれば低学年からでも、ものによっては幼児からはじめることができます。
楽しくできるものが多いので熱中すること間違いなしです!
夢中になって取り組んでいるうちに、考える力やプログラミングの基礎知識が身についていきます。
アンプラグドプログラミングで興味を持ってもらうことに成功すれば、そのままスムーズにパソコンを使ったプログラミング教育へと移行していくこともできるでしょう。
グループワークができる
これはアンプラグドプログラミングならではの強みでしょう。
アンプラグドプログラミングは、アクティビティやボードゲームなど複数人で行うことを前提とした教材が多くあります。
そのため、自分の考え方を発信したり、他の人の考えを聞いて意見をまとめたりするなど、プログラミング教育と同じように重要視されているアクティブラーニングの教育が実践できます。
パソコンを使ったプログラミング教育では基本的にひとりで作り上げる内容がほとんどなので、意見の活発な交換が難しいです。
グループで取り組むことができるのはアンプラグドプログラミングの大きなメリットと言えるでしょう。
アンプラグドプログラミングのデメリット
アンプラグドプログラミングのデメリットは3つあります。
アンプラグドプログラミングの3つのデメリット
- プログラミングではない
- 目的意識がないとただの遊びになる
- 試行錯誤ができない
デメリットもやっぱあるか!
しっかりおさえておこう!
プログラミングではない
アンプラグドプログラミングを学習しても、プログラミングができるようになるわけではありません。
あくまでプログラミングで使うような考え方(プログラミング的思考)を学ぶことが目的であり、アンプラグドプログラミングだけでプログラミング教育が完結することはありません。
実際にプログラミングを組むということがどういうことか、パソコンがどんな命令でどんな動きをするのかは、パソコンを使ってみないと真に理解することはできません。
パソコンを使ったスクラッチのようなビジュアルプログラミングも同じです。厳密には、これだけでプログラミングができるようになるわけではありません。
どの学習方法をとるにしても、何を学ぶためにやるのかを明確にしてステップアップしていけるように取り組んでいく必要があります。
目的意識がないとただの遊びになる
目的を明確にして学習することが大切であることは、先ほど述べた通りです。
そうしておくべき理由はもう1つあります。
遊び感覚で学べる教材の多いアンプラグドプログラミングだからこそ、目的意識が薄いと本当に遊びになってしまいます。
「プログラミング的思考」を育むためには、なぜその教材を使うのか、子どもたちはどんなことを考えながら取り組めばよいのか、教える側がきっちり認識しておかなければなりません。
試行錯誤ができない
パソコンを使ったプログラミング教育の良いところは「想定した動作をその場で厳密に確認できること」です。
自分が想定した動作をプログラミングに落とし込んで実行すると、上手くいっていなくても何かしら動作します。
その結果をもとに問題点を見つけて改善し、また動作を試すことができます。
つまりパソコンを使えば簡単に試行錯誤ができるということです。
よくトライアンドエラーとも言っていますが、これはプログラミングをする上で非常に重要です。
一発で思い通りのプログラミングが書ける人なんていませんよね。
またトライアンドエラーで改善していく作業は、プログラミング以外でもスポーツでも仕事でも何にでも使える力になります。
アンプラグドプログラミングでは「ここをこうしたらどうなるかな?」は試すことができますが、「やっぱりあの時こうしていればどうだったかな?」は試すことが難しいです。
前に戻ってやり直すという作業はオンラインでこそ簡単にできますが、オフラインの活動では難しいです。
「試行錯誤」もプログラミング的思考の要素であり、試行錯誤を試すのが難しいという点はアンプラグドプログラミングのデメリットだと言えます。
アンプラグドプログラミングの実践方法
アンプラグドプログラミングの実践方法は大きく次の5つあります。
アンプラグドプログラミングの実践方法
- 本
- 動画
- アクティビティ
- 日常に取り入れる
- ボードゲーム、カードゲーム
本で学ぶ
本でアンプラグドプログラミングを学ぶことができます。
有名なのは『ルビィのぼうけん』でしょう。
世界20か国以上で反響を呼んでいる、教育大国フィンランド発のプログラミング教育絵本です。
前半はプログラミングに必要な考え方を学ぶ物語になっており、後半は練習問題が用意されており、5歳ぐらいからの子どもにオススメです。
『ルビィのぼうけん』はシリーズ化されており、「プログラミング」「コンピュータ」「インターネット」「AIロボット」の4巻が発売されています。
動画で学ぶ
動画は、厳密にはアンプラグドにはなっていないかもしれません。
「見るだけ」で難しい知識はいらないということで、お許しください。
動画でプログラミング教育をするのにピッタリなのはNHKの『テキシコー』です。
プログラミング的思考を楽しい動画で、頭を使いながら学んでいくことができます。
大人でも思わず見入ってしまうおもしろい内容がたくさんありますよ!
アクティビティで学ぶ
アクティビティとは簡単にできる「遊び」のようなものです。
次の動画は「みかんゲーム」というアクティビティです。
5人が自分の服と同じ色のくだものを両手に持つまで持ち物を入れ替えていくゲームです。
開いた手の両隣の人としか、くだものは交換できません。
時には両手ともそろっている自分のくだものを交換しないといけない場面もあり、5人のチームワークとクリアするための「順序を考える力」が試されます。
このように、プログラミング的思考を学習できるアクティビティはたくさん存在します。
こちらの『コンピュータサイエンスアンプラグド』にアクティビティが豊富に紹介されています。
ぜひみんなでやってみてください!
日常に取り入れるで学ぶ
プログラミング的思考は日常にもあふれています。
料理をするときもたくさんの手順を考えますよね。
下の図は目玉焼きを作る際の手順を、命令ブロックと料理の手順通りに並べたものです。
このように、日常の中でも動作を考えて正しい手順や効率の良い組み合わせを考えることで、プログラミング的思考を育てることができます。
子どもに家事を手伝ってもらうときや、買い物にいくときなどに取り入れてみてはいかがでしょうか?
テーマパークに行くとき『乗りたいアトラクション、見たいショー、食べたいもの、混雑している時間、お土産を買うタイミング』などを考慮して行動計画を立ててもらうと、子どもも楽しみながら考えてくれるのではないでしょうか。
ボードゲーム、カードゲームで学ぶ
ボードゲームやカードゲームでも、プログラミング教育を行うことができます。
将棋で活躍している藤井聡太さんも幼少期からボードゲームで遊んでいたと言います。
もともとボードゲームやカードゲームは対戦型が多く、戦略を立てて、相手の行動を予測し、限られた条件で最善の手を考えますよね。
基本的には、目的意識を持って取り組めばどんなゲームでも思考力を向上させることは可能です。
プログラミング学習のために開発されたボードゲームやカードゲームも登場しており、アンプラグドプログラミングのひとつとして今後注目度が増していくでしょう。
またボードゲームやカードゲームは以下のようなメリットがあります。
ボードゲームやカードゲームのメリット
- 複数人で遊べる
- 大人と子どもが一緒に遊べる
- ルールを守る大切さが学べる
- ルールがシンプルでも奥が深い
- 対戦型で勝ち負けを真剣に考えれる
- 対象年齢が幅広く、幼児からできるものもある
勝負しよー!
望むところだ!
まとめ
この記事では「アンプラグドプログラミング教育とは?」をご紹介しました。
まとめると以下のようになります。
- パソコンを使わないプログラミング的思考の学習法
- パソコンがいらない
- パソコンに不慣れな先生でも指導できる
- プログラミング的思考を育成できる
- コンピュータの仕組みが理解できる
- プログラミングの基礎が理解できる
- 低学年から取り組める
- グループワークができる
- プログラミングではない
- 目的意識がないとただの遊びになる
- 試行錯誤ができない
- 本
- 動画
- アクティビティ
- 日常に取り入れる
- ボードゲーム、カードゲーム
パソコンがなくても、プログラミング教育は可能です!
パソコンがない、子どもがパソコンを使えない方はまずアンプラグドプログラミングで学習しましょう!